プロメア感想
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最初に言っておくとあんまり良いことは書いてないんで狂信者の方はバックしてください。
ニ周目直後のツイッター下書き
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プロメア、キルラキルやグレンラガンを履修していてトリガー信者である事を前提に作られている部分が結構あって、そこだけは納得行かなかった
「さすが中島かずき」みたいな評を沢山見るんだけど、「さすが」が出てくるという事は前提的に中島かずきが大好きであったわけで、プロメアはそれを追認するための作品でありそういう人たちのためのものに見える 本当にトリガー作品とか何一つ知らないまま観たら噛み砕けない要素や見過ごせない粗が多い気がする
プロメアを観る前の俺の印象である「履修者が全員狂信者すぎて怖い」の答えが多分これ 優秀な監督が作る作品というバイアスを前提にした構築になってるから、「中島かずき」および「トリガー作品」にハマる人が確実にハマる作りになっているのだ プロメアは内輪の炎
同じ感想をもってる人も多かった
尋常ではない高評価を置いている人間が沢山いる一方で、納得行ってないレビューもそこそこ見かけるのは、「トリガーは面白い」というバイアスがない人々の意見なんじゃないだろうか 多分だけど、プロメアに残る少々の矛盾が「トリガー信者だと丁度隠れる位置」に全て集まっている 全員がそのパターンとは言わないけど
プロメアは面白かったしかなり深く考え込まれた作品だと思うが、完璧では無いし粗はある それを過敏に弾圧している狂信者が多いのだけがちょっと印象悪い
自分の中で一番盛り上がったのがリオが街を燃やし尽くそうとするシーンで、そこからの怒りの冷め方が急激すぎる気がした ガロに一発入れられただけであんだけ烈火の如く怒ってたのが冷めて数十分後には一緒の機体に載ってただのエネルギー源になったり、ガロを守ったりしているのに違和感がある
リオがガロにそれほどの好意を抱いたタイミングが全くわからん 炎龍と化した辺りではもうバーニングレスキューは全員敵くらいの気分でしょ 「何の罪もないバーニッシュを〜」の答えも出ないまま打ち切られたし 「殺さない誇り」に気づいて沈下したように見えるけど、それでもガロはこの時点ではまだ全然敵でしょ
相棒みたいな事になったタイミングが何回見返しても分からない デウスエクスマキナに乗り込んだ頃にはもう既にガロに敵意全くなさそうだけど、その間に起きたイベントは殴り合いとプロメアの説明だけ
この時点でのリオの最優先目標は囚われたバーニッシュの一刻も早い救出だから、協力する事自体は自然なんだけど、もう少し喧嘩っぽい方が自然なのでは?
特に不自然なのがガロのせいで墜落した上に見た目でやる気が出ないなんて我儘言われたのに全然怒らず(ちょっと文句は言ったけど)「で、どうしたらいい?」と協力的な所
合理的には正しい判断だけど、リオはこの時点までは(ガロと対照的に)「理知的であろうと振る舞う感情的な少年」として描かれていたので、此処は早くバーニッシュを助け出したいのにバーニングレスキューの男一人のわがままのために足を引っ張られている事に怒ってもいいと思う
クレイ戦の「ああ!」も「僕に命令するな!」とかの方が自然だと思う 全体的に後半、クレイの活躍と対照的にリオの主張が薄く、ダブル主人公の一人というよりヒロインかエネルギーポットくらいにしか扱われていないのが気になった リオデガロンもほぼガロしか喋ってないし
後半リオの最大の見せ場である一惑星完全燃焼も「僕の『すべてを燃やし尽くす』という衝動と」って言ってるけど、正確にはこれはリオ・フォーティアの衝動ではなくプロメアという炎生命体の意思であって、一惑星完全燃焼はガロとリオではなく「ガロと、リオというプロメアの容れ物」つまりガロとプロメアの共同作業でしかないわけで。結局クレイの「バーニッシュはプロメアの奴隷だ」という言葉の言う通りになってしまっている。プロメアの意思に抗うことができたのは劇中通してクレイただ一人。「人間の意思とシンクロする」と言ってるのはリオ自身が自由意志とプロメアの意思を混同しているのだと思う。頭ベルトルトと同じ理屈よ。
いろいろ見て回ると、「ガロを好きになれるかどうか」がプロメアの評価を100と0に分けてる感じがする ガロに感情移入できないタイプの人は多分プロメアにあんまり共感できない
既に言ってる人がいた 完全にこれ これで全部説明がついた 基本はトリガーファン前提の構成で、トリガー作品未履修でも楽しめた人は後者の素養があったってことだと思う
「トリガーだから」「中島・今石だから」「中島かずき節だから」でプロットの粗を見逃されている部分が多々あって、そこだけは不当だと思う ということでした
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もう数周した後の感想
概ね評価は変わらず。やっぱりバーニングレスキューのメンツの後半の必要性がかなり薄い。インタビューによるとあえてガロリオとクレイに焦点を絞ったらしいけど、ここでの「あえて」はバラ撒いた要素を有効活用できなかった言い訳以外なんの意味も持たないと思う。ガロがやっぱり掴みづらいなぁ。どう考えても「ただの熱血馬鹿」としては描かれてなくて、リオとは逆に「感情的で愚直に見えるが、実は理性的で打算的」なキャラだと思っているんですけど、前哨でも語ったように「ただの熱血馬鹿でないとおかしい部分」もあって、キャラクター自体が自己矛盾を起こしている気がする。あと、監督が歌舞伎を好きすぎて完全に「やりたいだけだろ」みたいなところがちょいちょいあるのもトリガー信者の盲目性を利用した「お目溢し」を前提としているのがミエミエで嫌だった。サムライ8のおにぎりと全く一緒よ。
なんか批評ばっかりしてるようですが、ここに書かれていない部分は全部良かったと思っているし、総合的にはかなり面白かったと思っている。ただ如何せん狂信者たちの絶賛によって期待値がかなり挙げられていたので、肩透かしを食らった感じは否めない。昨日観たペンギン・ハイウェイなんかは「賛否両論」って聞いてたからあんまり期待せずに観たんだけど、予想外に面白かったのでその影響もあるかもしれない。映像は完璧だったし、澤野弘之氏の劇伴は文句なしに最高だったんだけど、それってなんか……ずるくねぇ~?とも思う。監督の御業ではないじゃん。記号に多様な意味を持たせるのはメチャクチャ巧いと思ったけど。特にピザよ。円を構築する三角の集合体っていうのが、巧いよね。思いつかんわそんなん。でもそれくらいかな……OPから中盤くらいまでは「とんでもねえ映画に出逢っちまった」みたいな高揚感があっただけに失速感が否めなかった。
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ちょこちょこ追記
・レビューを見て回ると、「やっぱりTRIGGERは最高!」とか「中島かずき節全開!」とか、このたぐいの好評がほんっとうに多くて、やはり概ねここに書いたとおりな気がする。一つの映画にここまでバイアスが入り込むのって、ちょっと異常ですよ。全開なのはあんたらのハロー効果や。狂信的すぎて正常な判断が下せていない気がする。それはそれで良いんですけどね、別に……観測者が見た世界だけが真実なので……面白さなんて主観でしか決定されないのだから楽しめる奴が正義なのは間違いない。それとは別にコンシステンシーというものはあるけど。
・またさらに何度か見返して(もう大好きでは?)、「主人公が成長しない」ということに気づいた。ガロ、はじめから終わりまで何一つ変わってません。クレイへの心情変化とかは「知識」によって変わっただけで「体験」によるものではない。たとえば物語開始直後のガロに「クレイ実はあんなことしてるよ」って吹き込んでも全く同じ変わり方をしただろう。インタビューを見ると監督がもう「ガロは成長しない主人公」と明言しているらしい。ちょっとでも脚本術齧ったことある人ならおわかりかと思いますが、脚本において最重要なのは「主人公の成長」であり、そこがおざなりだと全部ダメっていうのが最も基本的な部分のはずなんです。それを意図的に放棄した物語っていうのはなかなかチャレンジングなのでは。それがうまくいったとは思いませんが……一応ダブル主人公であるリオの方は比較的成長しているのでそっちで釣り合いを取ったつもりなんだろうか。
・「バーニッシュはプロメアに操られる、彼らの本能のままに動く奴隷だ!」に対するリオの答えは「まるで自分だけは違うとでもいうような口ぶりだな」なんですよね。つまり言い換えればリオはクレイの「バーニッシュはプロメアの奴隷」という言葉を肯定しているんですよ。リオ自身も何度も「燃やさなければ生きていけない」という言い方をしている、つまり不可抗力的な衝動であることを示唆している。タイトルが「プロメア」であることからしても、この作品は徹頭徹尾プロメアという生命体のための物語なんだと思う。