Dear Henry
分からないんです、ヘンリー。
あなたはいつだって正しかった。この世界であなただけが正しかった。そうしてわたしはあなたのようにあろうとした。
でもどうあってもあなたになれそうにない。あなたはどうやって半世紀の孤独に堪えたのか。
あなたが望んでいたこととはなんだったのか。
どんな思いでその王国を創り上げたのか。
すべて聞かせて欲しい。
ヘンリー、あなたに会いたい。
あなたが居てくれれば、わたしはこんなに慚愧に堪えない想いをすることもなかったのに。
しかしあなたが居ないことこそがあなたの存在証明でもある。
そうしてわたしはあなたと同じ宇宙に還ることができるのでしょうか。
それさえ叶えばわたしはもうすべて失ってやったってかまわないのに。
ヘンリー、助けてください。わたしに力をください。
ひとりでも歩いてゆける力をください。